備 忘録

ジャニオタによる備忘録

映画 坂道のアポロン 感想(ネタバレあり)

坂道のアポロン

 

知念侑李初の単独主演映画、【坂道のアポロン】を見てきました。

映画を見るために、漫画原作も読みました。この先の感想にはネタバレもありますので、ご注意ください。

 

全体を通して、私的にはよかったと思う。

青春映画!って感じ。恋愛メインの青春映画ってそこまで好きになれないけど、今回の恋よりも友情メインだからかすごく心に響いた。あと、途中から自分がりっちゃんの気持ちになって、薫と千太郎の関係をみていたからなのかもしれない(気持ち悪い)。

 

薫と千太郎、薫とジャズの出会い

屋上の鍵が欲しいという薫。そんな薫を千太郎は上級生に奪われて屋上の鍵を奪い返しにいく。千太郎自身、屋上の鍵を取り返したいという気持ちもあったと思うけど、まるで薫のために鍵を取りにいっているみたいだった。

鍵を取り返そうと、上級生(3人)と喧嘩をする千太郎、それを見守る薫。

このときの薫の顔が、ほんと恋する乙女のようで。少女漫画でよくありそうなシーン。女の子が男の子に恋に落ちるシーンって感じだった。あれ、絶対薫は千太郎に恋した。

監督も言っていたように、これは薫と千太郎のラブストーリーようだった。

 

そのあとも、教室で薫をみかけた千太郎は薫にちょっかいを出す。千太郎はほんと薫が好きだな~って思ってた。まあ、このときはまだおもしろいもんみつけたな~ぐらいにしか千太郎は思っていないのだろうけど。

 

そして、りっちゃんの家に誘われた(りっちゃんの実家のレコード屋に誘われただけ)薫は、そこでジャズドラムをしている千太郎に会う。薫とジャズとの出会い!

千太郎に馬鹿にされた薫はモーニンのレコードを買い、猛練習をする。

授業中に机に指をあてて、モーニンを弾く薫。その音に気付いた千太郎は鉛筆で机を叩く。気持ちよくなった二人は、他人の目を気にせず二人だけの世界でセッションをする。これが初めてのセッション。このときに、千太郎からの薫への矢印はとても太くて大きなものに変わったに違いない!

学校が終わり、セッションに行くぞと千太郎が誘う。薫は嬉しいのだが素直になれず、りっちゃんに無理やり誘われたと言う。最高にかわいい。

 

ムカエレコードに行くと、快く薫を迎えてくれるりっちゃん父。モーニンのレコード買っただけであんなにも態度が変わるの!?と思った。(まあ、千太郎の友達って認識だからかね)

 

と、ここで淳兄登場。薫を見て、この坊ちゃんは?と聞くと、千太郎が「わいの友達や」と紹介する。その横で、嬉しそうな顔をするりっちゃん、私の顔も自然と同じ顔になる。やはり、私はりっちゃんの立場になってこの映画を楽しんでいた。

 

りっちゃん父を含め、4人でセッションする。薫を除いた3人ではじめはセッションをしていたが、千太郎にお前も入れと言われる。最初は戸惑いながら、和音を鳴らし、すぐに手を下してしまった。だが、千太郎に飛び込め!と言われ、少しずつ3人のセッションにはいっていく薫。だんだん楽しくなって、はじめは和音だけだったのが様々な弾き方でセッションにピアノの音色をなじませていく。これが、薫が本格的にジャズをはじめた瞬間。

 

 薫の恋

薫はりっちゃんが好き。それは一目瞭然。

パンフレットにも書いてあったけど、薫はりっちゃんの横顔を眺めているシーンが多かったし、見ていても感じていた。

千太郎に恋い焦がれるりっちゃんに恋い焦がれる薫。切ない。りっちゃんが好きな千太郎は百合香さんが好き。薫は千太郎と百合香さんが結ばれれば、りっちゃんが千太郎を諦めるかもと思っていても、百合香さんに恋をする千太郎を見るたびにりっちゃんは悲しい表情をする。そんな姿を見ていられなくて、りっちゃんを気遣う薫が切ない。

 

薫とりっちゃんのキスシーン。あのキスは、薫がもう我慢の限界だったんだろうなと思った。

そのあとの糸電話でも話しているように、薫はりっちゃんが好きで、本当にりっちゃんのことを悲しませたくないと思っていたのに、泣いているりっちゃんを見て、りっちゃんに思いを伝えずにはいられなかったんだろうな。

 

原作では、りっちゃんは薫さんを恋人になる。まあ、薫が東京の大学に進学することでいろいろ起こるんだけど...。

映画では、「薫さんを見るとドキドキする」と言ったり、10年後、変わらない思いがあるという話で「この気持ちは薫さんには伝えてない...」と言って何かを言いかけるシーンがある(千太郎のドラムによってさえぎられる)。

映画でもりっちゃんの気持ちが薫さんに傾いているのはうれしい。でも、きっとこの映画のメインは一生モノの友情なんだろうなと思う。りっちゃんの思いを明確にしないのは、いい表現のように感じた。

 

薫と千太郎の友情

淳兄と百合香さんが佐世保を出てく姿を見た千太郎は、自棄になって喧嘩する。薫は千太郎を止めにはいる。そこで、千太郎が淳兄と百合香さんのことを知っていたのかと薫に聞く。薫は二人に気付いていたが、千太郎が傷つくと思い本当のことを言えずにいた。千太郎はそれが気に食わなかった。俺のことをあざ笑ってたんだろという。そんなすれ違いから、二人には溝ができてしまう。

そして、千太郎は文化祭でのロックバンド演奏のドラムを担当することになる。二人の溝は大きくなるばかり。

 

薫は文化祭前に、千太郎に殴りかかる。千太郎に殴りかかる薫の覚悟は相当なものだったんだろうな思う。千太郎は薫に掴みかかり、薫を押し倒しこぶしを振りかざす。薫も、まわりの人たちも薫が殴られると思ったが、千太郎は薫の顔を避け、顔のすぐ横の床を殴り、何も言わずにそのまま立ち去る。りっちゃんは倒れこんだままの薫に駆け寄ろうとするも、薫に来ないでと言われる。

バーで淳兄が外国人に喧嘩をふっかけた千太郎に言った言葉、「暴力は何の意味もない」。この言葉通り、暴力は何も意味がない、何も解決しない。殴り合ったって、二人関係は修復しなかった。

 

そして文化祭当日。

ロックバンドでドラムを叩いている千太郎を見て、薫はもう戻れないかもと言う。辛い...。そんなとき、電気が使えなくなる。ドラムはいいが、マイクやギター、ベースが使えなくて演奏が中断される。文化祭実行委員の薫は、体育館の舞台裏で点検をしていると千太郎とりっちゃんの会話を聞く。そこで千太郎も、もう戻れないかも、俺が馬鹿だったという本音を聞く。

薫はそれを聞いてピアノに向かう。このまま終わるは嫌だって思ったんだと思う。彼らには音楽しかないから、薫は千太郎に向けてピアノを弾いた。千太郎が薫のピアノに気付き、ドラムを叩く。そして、二人は顔を見合わせる。涙で前が見えません!!!!!!!

どんどん盛り上がっていく二人。最初はぎこちなかった二人も、顔を見合わせるたびに、生き生きとした表情になっていく。そんな二人の姿を見て涙するりっちゃんと、号泣する私。

 

演奏が終わり、ハイタッチを求める千太郎。それに応えよう手をあげる薫。千太郎はその手を掴み、薫を連れて学校の外へかけていく。まさに駆け落ちだ。

二人だけの世界に飛び込んでいくようなかんじで、最高の友情を感じた。

 

再会

千太郎とりっちゃんが事故に合い、りっちゃんが怪我をする。千太郎は大切なものを傷つけてばかりだと病み、姿を消す。

ここは、原作と違う。原作では千太郎の子供のころのことがもう少し書かれていて、お父さんがもっと関係してくる。野間口さん、もうちょっと出演シーンあってもよかったのになー。事故に合うのは原作通りだが、怪我をして意識がなくなるの幸子だ。ここに関しては、原作のほうが好き。千太郎が病むところや、姿を消す理由がもっと明確になる。

 

姿を消して、10年間行方を知らなかった薫。淳兄と百合香さんから、千太郎の居場所を教えてもらい、りっちゃんと向かう。教会が見えてきたところで、ドラムの音が聞こえてきて、駆け出す二人。

10年ぶりに対面する3人。なのに、いままで何をしていたのか、いま何をしているか、どうして姿を消したのか、なんで連絡くれなかったのか、普通なら聞きたいことが山積みだが、この二人は違う。そういう関係では無い。

何も言わずにセッションをはじめる二人。それは、10年たっても変わらず息ぴったりのセッション。この二人には、言葉なんていらないんだ。音楽があれば、すべて伝わるんだなって感じた。

そして、10年前にいいそびれた、薫のMy Favorite(お気に入り)それは、「いまこの瞬間」である。

涙がとまりませんでした。

 

全体

原作は10巻のあるのだが、それを綺麗に2時間でまとめられていたと思う。

そして、薫と千太郎の友情がとてもきれいに描かれている。本当に二人のラブストーリーのように感じた。

とくに文化祭のセッションは圧巻だった。吹き替え無しの演奏は本当にすごい。ジャズは全然詳しくないけど、音から楽しい雰囲気が伝わるし、息ぴったりのセッションは鳥肌ものだ。

この二人が薫と千太郎で本当によかった。

原作通り、二人の綺麗でキラキラ輝いている友情が映画にはあった。

正直いって、最後のシーンでりっちゃんが歌いだしたらどうしようとか考えてました。でも、そこは監督わってらっしゃる。最後のいい終わり方だった。

 

たくさんの人に見てほしい。

原作好きで、実写映画はちょっと...って思う人も、見てほしいなと思った。